背中にできもの?ハリネズミの皮膚腫瘤①「表皮嚢胞」

※手術の画像があります。苦手な方は閲覧しないでください。
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

ヨツユビハリネズミ(2歳6ヶ月齢)が、「背中にできものがある。」とのことで来院されました。初診時には、背中の皮膚に2つのできものが確認されました。
後日、麻酔下によるX線検査、および血液検査を行い異常が認められなかったため、背中のできものの切除を行いました。できものは2つとも「表皮嚢胞」という皮膚病変で、切除により良好な経過をたどるものでした。およそ2週間後に抜糸し、経過観察となりました。

ハリネズミの皮膚のできものについて

ハリネズミにおいても他の動物同様、皮膚にできものができることがあります。皮膚のできものは一般的には外観で診断がつくものは少ないため、切除して詳しく検査します。できものは大別して、「腫瘍性」と「非腫瘍性」のものがあり、さらに腫瘍性のものでは「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」とに分かれます。この際の問題点は、最も危険な「悪性腫瘍」が見た目ではわからないという点です。そのため、体表にできたできものについては、基本的には切除による治療兼検査が望ましいです。

▲切除直前の画像です。赤マルで囲まれた部分ができものです(向かって左側が頭側)

▲背の反対側にある2つ目のできものです。赤マルで囲まれた部分ができものです(向かって左側が頭側)

▲手術直後の画像です。皮膚の過度の突っ張りもなく良好です

臨床診断は「皮膚腫瘤」
病理診断は「表皮嚢胞」

手術は日帰りで行いました。
退院時には抗生剤、止血剤、鎮痛剤など処方し、数日後の再診としました。抜糸は2週間後としました。

▲2週間後の画像です。術創も問題なかったため抜糸しました。病理検査の結果も「表皮嚢胞」とのことで、切除により良好な経過をたどるものでした。

表皮嚢胞についてもっとくわしく!

表皮嚢胞は犬や猫でもよく見られる体表腫瘤です。単独で発生することもありますし、今回の患者さんのように多発することもあります。放置すると巨大になったり、また中の角化物が外に出てしまうと強い炎症を起こすことがあります。

原因

特になし

症状

炎症が起こると皮膚の赤みや痒み。ひっかくことによる出血など

検査

病変部の切除のよる病理組織検査

治療

切除手術

予防

特になし

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。

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