ハリネズミの眼球突出

※手術の画像があります。苦手な方は閲覧しないでください。
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

ヨツユビハリネズミ(3歳6ヶ月齢)が「前日から左目が飛び出ている。気にしてこすっている。」とのことで来院されました。左眼球が突出し、乾燥しており眼内の確認はできませんでした。また眼球が腫れ、眼窩(眼球が収まってるくぼみ)に押し戻すことも困難でした。

このままでは、本人の苦痛が強いため、QOL(生活の質)の改善と原因の追究のため眼球摘出を行いました。摘出した眼球には腫瘍性変化は認められず、炎症と感染、出血が認められました。眼球摘出後は元気に過ごしております。

眼球の突出について

眼球の突出は様々な原因で発生します。ハリネズミはもともと眼窩が浅く、興奮しただけで突出してくることもあります。もちろん、その場合はすぐに戻るので問題ありません。また、肥満により眼窩に脂肪がつくと眼球が飛び出してくることがあります。何かしらの理由で眼球が突出したままになると、うっ血や炎症などが起き眼球自体が腫れ戻れなくなります。また、実は眼球自体にトラブル(腫瘍や炎症、緑内障など)があり、突出してくる場合もあります。

▲正常な目を写した画像です

▲正面からの画像です。左側の目が飛び出ているのがわかります。こすっているため、周囲には涙と汚れが付着しています

▲突出した目のアップです。表面は乾燥していて内部が見えません。

突出したままだと痛みがあるので押し戻そうとしましたが困難でした。この状態では視力の回復は見込めず、また、このままでは痛みがあるため、眼球を摘出することになりました。

▲手術前の画像です。突出したままの眼球は乾燥しています

▲手術中の画像です。瞼にある涙の分泌腺を残すと涙が出てきてQOL(生活の質)が低下するため、瞼も一緒に切除します。青矢印が眼球、赤矢印が頭側です

▲摘出後、皮膚を縫合します。ハリネズミは麻酔下でなくては抜糸が困難なことも多いので、弱い糸で縫合し、状況により抜糸をせず自然と取れるのを待つこともあります
摘出した眼球は、病理検査に出して腫瘍なのか、どのような異常が起こっているのかなど検査します。

臨床診断は「眼球突出」
病理診断は「壊死性化膿性汎眼球炎および眼球内出血」

ハリネズミは体調に問題が無くても、入院という環境の変化によりごはんを食べないことが多い動物です。
この患者は麻酔からの醒めも問題なかったため、手術当日に退院としました。次の診察までは、鎮痛剤や抗生剤などの内服を飲ませてもらいました。退院後は痛みから解放され、しっかりごはんを食べ、元気にしていました。

2週間後の診察では、本人の体調も問題なく傷も安定していました。病理検査の結果は腫瘍ではなく炎症でした。今回の障害の原因は特定できませんでしたが、今後環境を見直しつつ、治療を終了としました。

▲術後2週間後の画像です。なかなか写真を撮るのが困難なくらい元気にしています

眼球突出について

眼球の突出には主に2つのパターンがあります。ひとつは何かしらの圧力などで眼球が飛び出してしまうパターン、もうひとつは眼球が腫れてきて飛び出してくるパターンです。前者は何かしらの理由で首が締まって飛び出たり(首吊り状態になる事故や頭部への強い衝撃など)、もともと眼窩が浅く飛び出てたままになってしまうことが考えられます。後者は、眼球内の腫瘍、感染、炎症、緑内障などが考えられます。

状況によっては眼球を温存できることもありますが、障害が重度の場合は、患者の苦痛を考え眼球を摘出することもあります。眼球摘出前に原因がわかることもありますが、眼球内の検査は他の部位のようにいかないことも多く、ましてやハリネズミなど小型の動物では難しいことも多いです。

症状

眼球の突出、流涙、眼を気にする、ひっかく、元気消沈、食欲不振など

検査

眼科検査、血液検査、X線検査など

治療

原因により治療法は異なる。温存可能なら温存、点眼治療など。不可能ならQOL(生活の質)の低下を避けるため摘出を行う

予防

原因により異なる

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。

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