脱毛とフケ?ハムスターのニキビダニ
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。
概要
ゴールデンハムスター(雄、2歳5か月)が「背中の痒みと脱毛」で来院しました。皮膚検査(体毛やフケを顕微鏡で確認する検査)の結果、背中の皮膚からはニキビダニ(毛包虫)が確認されました。駆虫薬を1週間ごとに2回皮下注射した結果、痒みは減り、毛が生えてきました。再度皮膚検査によりニキビダニは確認できなくなったので、治療終了としました。
ハムスターの皮膚疾患について
ハムスターの皮膚疾患の原因として、細菌や真菌(カビ)、寄生虫、アレルギー、物理的な刺激、内分泌疾患、腫瘍などが考えられます。一般的な症状には脱毛、皮膚の赤み、痒み、フケなどが含まれます。問診を通じてハムスターの生活環境や食べ物、他個体との接触の有無を確認し、必要に応じて皮膚検査や真菌培養検査を行って原因を特定していきます。
▲食欲元気は問題ありません
▲体毛は薄く、赤みやフケが見られます
皮膚を顕微鏡で見たところ、数匹のニキビダニが確認されました。ニキビダニが動いているのが分かります
臨床診断は「ニキビダニ感染症」
駆虫薬を皮下注射で投与します
▲治療から2週間後の写真。薄毛は改善し、赤みやフケは減少しました
ハムスターのニキビダニ感染症について
ニキビダニは「毛包虫」とも呼ばれ、皮膚に寄生する寄生虫です。ハムスターに寄生するニキビダニは2種類が確認されており、健康なハムスターにも常在しています。しかし皮膚の免疫力が低下すると、脱毛や皮膚の赤みなどの症状を示します。治療は基本的に駆虫薬の投与ですが、免疫力が低下する要因を改善しなければ完治が望めないこともあります。
原因
栄養が偏った食事や高齢、基礎疾患などが原因で免疫力が低下し、発症しやすくなります
症状
脱毛、皮膚の赤み、フケ、痒みなど
検査
皮膚検査でニキビダニの虫体や卵を確認します
治療
駆虫薬の投与です
予防
免疫力を高めるため、ストレスを軽減し、バランスの良い食事を与えます
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続き、この子の健康維持に向けて尽力してまいります。
※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。