ハムスターの腸重積

※手術、出血の画像があります。苦手な方は閲覧しないでください。
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

ゴールデンハムスター(2歳以上)が「元気だけど、前日の夜中から脱腸をしている。」とのことで来院されました。視診では肛門から腸が脱出しており、暗赤色をしていました。ゾンデという先端の丸い金属の棒を脱出部の脇から挿入したところ、2~3㎝挿入でき、直腸脱ではなく腸重積が疑われました。腸重積は死亡率が高いため、その日に緊急手術を行い、重積を解除、傷んだ腸を切除し縫合しました。翌日は元気もあり排便を確認していましたが、残念ながら翌々日に亡くなりました。

ハムスターの脱腸について

ハムスターの脱腸は主に2種類で、「直腸脱」と「腸重積」です。「直腸脱」は、直腸が肛門から脱出した状態で、「腸重積」は空・回腸や結腸と呼ばれる直腸よりもっと上部の消化管が重積という内部に折り重なった(陥入した)状態で脱出してしまった状態です。どちらも見た目には、赤い腸が脱出した状態ですが、腸重積は非常に致死率が高く、早急に手術しないと死に至ることも多いため鑑別が重要です。

▲来院直後の外観です。まだ動く元気はあります

▲おなかから見た画像です。消化管が暗赤色になり肛門から脱出しています

▲脱出部(赤矢印)のアップです。色が悪いのがよくわかります

▲脱出部の脇からゾンデ(赤矢印)を挿入しています。2~3㎝挿入できました。これにより腸重積の可能性が高いと思われました
> 推定2歳以上ということで麻酔のリスクもありましたが、腸重積は手術しないと死に至る可能性が非常に高い疾患であることをご説明しました。飼い主様の判断も早く、早急に手術を行うことができました。

▲開腹し、重積となっている腸(青矢印)です。矢頭の部分が陥入している部分(黄矢頭)です

▲陥入部分をすべて引っ張り出した後の画像です。陥入していた部分(青矢印)は暗褐色をしていてかなり傷んでおり、正常の組織には戻りそうにありません。そのため、その部分を切除し正常な部分同士で縫いつけます

▲おなかを閉じた後の画像です。麻酔から覚醒させています。

臨床診断は「腸重積」

術後翌日の夜に、軟便ながら排便が確認されました。
しかし、術後2日目に活動性の低下が見られ、術後3日目に残念ながら亡くなりました。

ハムスターの腸重積についてもっとくわしく!

腸重積とは、ある腸管が隣接する腸管の内腔にはまり込んでいる状態です。外観が似た状態である「直腸脱」との鑑別が重要です。原因としては、異物などによる閉塞、腸炎などによるものなどありますが、特定できないことも多いです。犬や猫ではおなかの超音波検査で特徴的な像が見られますが、ハムスターでは体の大きさから困難なことも多いです。治療の第一選択は手術による腸の整復ですが、ハムスターの腸は薄く弱いため早期に治療をしたとしても非常に死亡率の高い疾患です。

原因

異物や腫瘍などによる狭窄、閉塞。腸炎などの炎症などが言われているが特定はできていない

症状

多くは消化管が腸から脱出することで来院されます。出血性の下痢、腹部痛、おなかの張り、元気消沈、食欲不振など

検査

X線検査、超音波検査など

治療

開腹手術による重積を起こした腸の整復

予防

特になし

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。
※今回掲載したハムスターちゃんの飼い主様におかれましてはつらいお気持ちのなか、「他のハムちゃんのためになるなら。」とのことで、ホームページへの掲載をお許しいただきまして、感謝申し上げます。また、亡くなってしまったハムスターちゃんのご冥福をお祈りします。今後も飼い主様のご希望に応えらえるようスタッフ一同尽力いたします。

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