血便?フクロウのトリコモナス感染症

※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

コキンメフクロウ(1歳5か月齢)が、血便を主訴(来院した理由)に来院しました。来院時院内でした便は血便ではありませんでしたが、糞便検査の結果、トリコモナスが見つかりました。上部消化管に感染することが多いですが、この患者の口腔内は見える範囲では異状は認めませんでした。駆虫薬を2週間投薬した後の再検査では寄生虫は見つからず、治療終了としました。

フクロウの寄生虫感染について

フクロウの医療に関する情報は限られており、具体的な病原体や感染の症状、治療法など詳細な情報は乏しいのが現状です。 そういった状況の中でも、フクロウの医療に関わる人たちは一般的に飼育されているインコや他の鳥類からの情報を頼りに、日々診療しています。 こういった情報の蓄積がフクロウの健康を保ち、家族と一緒にいるためには重要であると考えます。

▲外観からは内部寄生虫はわかりません

▲口腔内に壊死巣を形成することがあるのですが、この患者さんにはあきらかな異状は認められませんでした

▲糞便の外観でもあきらかな異状は認められませんでした

糞便を顕微鏡で見たときの画像です。中央で激しく動いているのが寄生虫です。トリコモナスと断定はできませんが、可能性が高いと思います

臨床診断は「トリコモナス感染症」

寄生虫が認められたため、駆虫薬による治療を行いました。
投薬2週間後の再検査では、寄生虫を確認できなかったため、治療を終了としました。

フクロウのトリコモナス感染症についてもっとくわしく!

トリコモナスは消化管内に寄生する寄生虫の一種で、鳥類では口腔内で感染すると壊死巣を形成します。フクロウのトリコモナス感染に関する情報は乏しく、治療法に関しても確定的な情報はあまりありません。他の動物種から推測するに、命に関わるような強い症状を示すことは少ないと考えられ、適切な駆虫薬の投与により駆虫できることが多い疾患と思われます。しかし、フクロウに関する情報は少なく、体調不良の原因にもなるため検査、駆虫はしっかり行っておいた方が良いでしょう。

原因

感染したフクロウの糞便や消化器内容物からの伝播。また、感染源となる寄生虫や微生物を介して感染が広がることもある

症状

軽度の場合、無症状であることもある。症状が出る場合、下痢、嘔吐、腹痛など消化器症状が主に認められる。食欲不振、体重減少が認められることもある

診断

口腔内検査、糞便検査など

予防

感染の可能性のある動物と接触しない

治療

駆虫薬の投与

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。

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