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鳥の健康コラム

羽が抜ける、くちばしが変形…PBFDの症状と対処法

愛鳥の羽が抜けたり、くちばしが変形したりしていませんか?これはPBFD(オウム類嘴羽毛病)の可能性があります。早期発見と適切な対応が、大切な家族の命を守るカギです。

オカメインコpbfd
早期発見が重要です

「ココちゃんの羽が抜けて、くちばしも変形してきた…」
ある日突然の出来事

「最近、ココちゃんの羽がよく抜けるし、くちばしも少し変形してきたみたい…」

札幌市にお住まいの田中さん(仮名・35歳)は、2歳になるセキセイインコのココちゃんの様子がいつもと違うことに気づきました。

以前は美しい羽で覆われ、元気いっぱいだったココちゃん。でも最近は、羽がよく抜け落ち、新しく生えてくる羽も変形していました。さらに、くちばしにも少しずつ変化が見られるようになったのです。

「何か重大な病気なのではないか…」と心配になった田中さん。インターネットで症状を調べてみると、「PBFD(オウム類嘴羽毛病)」という言葉にたどり着きました。

「もしかして、これが原因なのかしら?」

不安になった田中さんは、すぐに動物病院に電話をかけました。

鳥のPBFD(オウム類嘴羽毛病)とは? 〜獣医師が解説する原因と症状〜

清野院長

ちゅら動物病院 院長 清野伸隆

日本獣医エキゾチック動物学会・鳥類臨床研究会所属
約20年鳥の診療に従事

「PBFD(オウム類嘴羽毛病)は鳥類、特にオウム目の鳥に見られる深刻なウイルス性疾患です。早期発見が難しく、症状が現れた時にはすでに進行していることが多いため、お迎え時や定期的な健康診断が非常に重要です。」

PBFDの基礎知識

PBFD(Psittacine Beak and Feather Disease:オウム類嘴羽毛病)は、サーコウイルス科サーコウイルス属に分類されるPBFDウイルスによって引き起こされる感染症です。このウイルスは非常に感染力が強く、主に羽毛や糞便、経口分泌物を介して他の鳥に感染します。

PBFDウイルスは、羽毛の形成に関わる細胞や免疫系の細胞に感染し、羽毛の異常や免疫不全を引き起こします。特に若い鳥は免疫系が未発達なため、感染すると重症化しやすい傾向があります。

放置した場合のリスク

  • 免疫不全の進行: ウイルスが免疫系の細胞に感染することで、免疫機能が低下し、様々な二次感染を引き起こす可能性があります。
  • 羽毛の喪失と変形: 羽毛が抜け落ち、新しく生えてくる羽も変形するため、飛行能力や体温調節機能が損なわれます。
  • くちばしの変形: くちばしが変形することで、食事が困難になり、栄養不良に陥る可能性があります。
  • 最悪の場合、死に至る: 特に若齢鳥では、急性型PBFDにより短期間で死亡することもあります。

感染経路と発症リスク

直接感染
感染経路

感染した鳥の羽毛、糞便、経口分泌物に直接触れることで感染します。特に羽毛の粉(フェザーダスト)には多くのウイルスが含まれています。

間接感染
間接感染

ウイルスが付着したケージ、おもちゃ、食器などを介して感染します。PBFDウイルスは環境中で長期間生存可能です。

若齢鳥のリスク
弱齢鳥

3歳未満の若い鳥は免疫系が未発達なため、感染すると急性型PBFDを発症しやすく、重症化するリスクが高いです。

ストレスと免疫低下
ストレス

環境変化、栄養不足、他の疾患などによるストレスや免疫力低下が、PBFDの発症や症状悪化のきっかけになることがあります。

PBFDの2つのタイプ

PBFDには主に「急性型」と「慢性型」の2つのタイプがあり、鳥の年齢や免疫状態によって症状の現れ方が異なります。

急性型PBFD

主に若齢鳥に見られる

  • 急激な発症と進行
  • 下痢、嘔吐、食欲不振などの全身症状
  • 急速な衰弱と死亡率が高い
慢性型PBFD

主に成鳥に見られる

  • 緩やかな発症と進行
  • 徐々に進行する羽毛の異常
  • くちばしや爪の伸長、変形、亀裂

どちらのタイプも早期発見・早期対応が重要です。新しくお迎えする時や定期的な健康診断を必ず行いましょう。

PBFDの主な症状

羽毛の異常

羽毛喪失

特に尾羽や風切羽(翼の羽)から始まることが多いです。

羽軸の変形・出血

新しく生えてくる羽の軸(シャフト)が変形したり、出血したりします。羽が途中で折れやすくなります。

粉っぽい羽毛

羽毛が粉っぽくなり、光沢がなくなります。

くちばしの異常

伸長・過成長

くちばしが通常よりも長く伸びてしまい、適切な食事が困難になることがあります。

変形・亀裂

くちばしが左右非対称に変形したり、表面に亀裂が入ったりします。

脆弱化

くちばしが柔らかくなり、通常の硬さを失います。食事や止まり木につかまる際に問題が生じることがあります。

全身症状と二次感染

元気消失・食欲不振

じっとすることが多くなり、食欲がなくなり体重が減少する場合があります。

下痢・嘔吐

特に急性型PBFDでは、消化器症状が見られることがあります。

爪の異常

爪が変形したり、過剰に伸びたりすることがあります。

重要: PBFDの症状は他の疾患(栄養不良、ストレス性の羽引き、外傷など)でも見られることがあります。正確な診断のためには、必ず獣医師による専門的な検査が必要です。

診断と治療

問診・身体検査

飼育環境や症状について詳しく聞き、体重測定、羽毛やくちばしの状態を詳しく観察します。

PCR検査

血液や羽毛などからPBFDウイルスの遺伝子を検出する最も確実な検査方法です。

羽毛検査

羽毛の状態を詳しく観察し、必要に応じて顕微鏡検査を行います

治療方法

対症療法

PBFDには現在特効薬がないため、症状に合わせた対症療法が中心となります。

免疫サポート

インターフェロンなどの免疫賦活剤を投与し、鳥の免疫力を高めます。

くちばしのケア

変形したくちばしは定期的なトリミングが必要です。

なぜ早期発見が重要?

病気を隠すのがうまい

「鳥類は病気を隠すのがうまい」とよく言われます。基本的に空を飛ぶ鳥類は木の枝にとまっているか空を飛んでいるかの生活であり、「それができなくなっていること = 他の動物に襲われ死に至る可能性が高い」ということなのです。そのため、かれらは最後の最後までできるだけ木に留まり、弱みを見せません。そのかれらの努力は飼い主様にとってはとっても厄介で、いつの間にか病気が進行し、「弱っている = 死の一歩手前」となっていることもしばしばあります。

PBFDの予防法

PBFDは予防が最も重要です。以下の対策で感染リスクを減らしましょう。

新しい鳥の検疫

新しく鳥を迎える際は、動物病院で健康診断を受けることが大切です。先住の鳥がいる場合は、感染症の有無が確認できるまでは、隔離して飼育しましょう。

徹底した衛生管理

ケージ、餌入れ、水入れは定期的に洗浄・消毒しましょう。PBFDウイルスは環境中で長期間生存するため、特に羽毛の粉(フェザーダスト)の清掃は重要です。

定期的な健康管理

年に1〜2回は獣医師による健康診断を受けましょう。また、毎週体重を測定し、羽毛やくちばしの状態を観察することで、異常の早期発見につながります。

バランスの良い食事

種子だけでなく、ペレットや新鮮な野菜・果物も与え、栄養バランスを整えましょう。ビタミンA、ビタミンD3、カルシウムなどは特に重要です。

ストレスの少ない環境づくり

適切な大きさのケージ、十分な休息場所、適度な刺激(おもちゃなど)を提供しましょう。ストレスは免疫力低下の原因となり、PBFDの発症リスクを高めます。

PBFDチェックリスト

以下の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう

羽毛がよく抜け落ちる、または変形した羽が生えてくる

くちばしが伸びすぎている、または変形している

羽毛が粉っぽくなり、光沢がなくなっている

最近、食欲や元気がない

健康診断を受けた事がない、最後に受けて何年も経つ

下痢や嘔吐などの消化器症状がある

最近、新しい鳥を迎え入れた、または他の鳥と接触した

1つでも当てはまる項目がある場合は、早めの診察をおすすめします。

ちゅら動物病院の特徴

鳥類PBFD専門治療

北海道で数少ない、鳥類のPBFD治療に対応可能な病院です。PCR検査による正確な診断と、症状に合わせた適切な治療を提供します。

充実した検査機器

PCR検査、顕微鏡検査など、鳥類に対応した設備を完備。より正確な診断、治療に繋がります。

5000件以上の診療実績

開業以来一貫して鳥類を診療。豊富な経験と知識で、様々な病気に対応します。

丁寧な説明と治療方針

治療前に必ず詳しく説明し、飼い主様の同意を得てから治療を開始。不安なく治療に臨めます。

鳥類専用入院施設

鳥類の生態に配慮した専用入院施設を完備。ストレスを最小限に抑えた環境で回復をサポートします。

退院後のアフターケア

治療だけでなく、日常ケアや健康診断にも対応。定期的なフォローアップで愛鳥の健康をサポートいたします。

治療の流れ

初診から回復までのステップをご紹介します

1

ご予約・受付

お電話またはwebからご予約ください。緊急の場合はお電話にてその旨をお伝えください。

2

問診・身体検査

症状や生活環境について詳しくお聞きし、鳥さんの状態を確認します。

3

検査(PCR検査・血液検査など)

PBFDのウイルスの有無や身体の状態をチェックします

4

診断・治療方針の決定

検査結果をもとに、治療プランをご提案いたします。

5

治療開始(通院または入院)

症状に応じて、通院治療または入院治療を行います。

6

経過観察・アフターケア

回復後も定期的な健康診断で健康をサポートいたします。

よくある質問

PBFDの検査費用はどのくらいかかりますか?

初診料は2,000円、PCR検査は〇円~が目安です。血液検査や追加の検査が必要な場合は、別途費用がかかります。詳しくはご相談ください。

PBFDは完治しますか?

残念ですが、PBFDウイルスは、一度感染すると体内に潜伏し続けるため、再発の可能性があります。再発を防ぐためには、定期的な健康診断や適切な食事管理、清潔な飼育環境の維持が重要です。

他の鳥への感染を防ぐにはどうすればよいですか?

PBFDに感染した鳥は他の鳥から完全に隔離する必要があります。ケージ、餌入れ、水入れなどは共有せず、それぞれの鳥の世話をする際には手洗いを徹底してください。また、新しい鳥さんを迎え入れた場合は、必ず健康診断を受けましょう。

ペット保険は使えますか?

アニコム、アイペット保険のみ窓口清算が可能です。その他のペット保険につきましては、飼い主様より直接、保険会社様にご請求をお願いいたします。その際に必要な書類等がございましたらお気軽にご相談ください。

診療時間

9:30〜12:30
13:30〜15:15 - - - -
16:30〜19:00

アクセス

住所

〒001-0924 北海道札幌市北区新川4条17丁目6-15

電話番号

011-788-9000

MAP・駐車場のご案内

駐車場レイアウト

駐車場図

※建物前に4台、建物裏に2台、計6台の駐車スペースをご利用いただけます

ご予約・ご相談

当院は予約優先制です。診察をご希望の方は、お電話またはwebからご予約をお願いいたします。診察を受けるべきかわからない、迷っているという方もお気軽にご相談ください。

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TEL: 011-788-9000

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