太ももの急な腫れ!ハムスターの体表腫瘍②「線維肉腫」

※本コラムでは手術時の画像があります。苦手な方は閲覧をお控えください。 ※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。 ※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

ハムスタ―(ジャンガリアン 1歳5ヶ月齢 雄)が「右後肢のつけ根にできものがある」とのことで来院しました。身体検査により右後肢の大腿部外側に3cmほどの腫瘤をみとめました。腫瘍の可能性が高く腫瘤の全摘出が最善ですが、腫瘤がかなり大きく大腿骨を巻き込んでいる可能性がありました。飼い主様と相談して腫瘍の遺残防止のため断脚手術としました。腫瘤の病理検査結果は悪性腫瘍である「線維肉腫」でしたが、断脚を行い広く切除したことにより腫瘍は取り切れているという評価を得ました。脚は1本無くなりましたが、元気に過ごしており、治療終了としました。

体表腫瘤について

ハムスターは体表にできものができることが多く、腫瘍、膿瘍、水腫(水ぶくれ)など、さまざまです。残念ながら皮膚にできる腫瘤状のものは見た目で診断がつくものは非常に少なく、注射針で細胞を採取する針生検、一部を切除して病理学的検査に提出する切除生検、もしくは腫瘤全体の摘出を行い、診断、治療を進めていきます。悪性腫瘍である場合は早期の治療が必要ですが外観から診断がつきにくいため、治療および検査として腫瘤摘出をすることがよくあります。

▲右後肢の大腿部から臀部にかけて腫脹が見られます。また、内出血のため色も少し黒くなっています

▲摘出手術中の画像です。腫瘤が大腿部の筋肉から発生しており、骨とかなり密接になっていることがわかります

手術終了直後の画像です。ハムスターは糸をかみちぎってしまうことが多いので、当院ではワイヤーで縫合します

切除した腫瘤および右後肢の画像です。かなり大きな腫瘤であることがわかります

臨床診断は「筋肉から発生した腫瘍」

病理診断は「線維肉腫」

麻酔からの覚醒も問題なく、手術当日退院としました。 退院時には抗生物質や鎮痛剤などの内服薬を処方し、翌日の再診でも食欲元気があり、体調に問題はありませんでした。 5日後の診察では順調な術創のふさがりを確認し、内服を継続しました。 およそ術後2週間での再診にて抜糸し、治療終了としました。 摘出した腫瘤の結果は、悪性腫瘍である「線維肉腫」でした。 しかし、断脚を行い広く切除したため、完全切除との評価を得られました。

▲抜糸時の画像です。1点だけ傷がまだありますが、このまま治癒すると思われました

▲治療終了時の画像です。これで治療終了です!

線維肉腫 について もっとくわしく!

線維肉腫は軟部組織肉腫に分類され、その名の通り筋肉などの軟部組織から発生する悪性腫瘍です。局所の浸潤が強く、また、腫瘍の境界が不明瞭であるため遺残の可能性があり再発を繰り返しやすいことが特徴です。残念ながら見た目からは判断がつかないことや急速に大きくなることもあるため、早期の摘出が肝要です。

原因

特になし

症状

皮膚症状、腫瘍の発生部位によっては運動障害、血流障害、自咬など

検査

身体検査、針生検、切除生検、摘出手術など。補助的にはX線検査、CT検査など

治療

外科手術による摘出、抗がん剤投与

予防

とくになし

文責、監修:清野伸隆 獣医師 院長

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続き、この子の健康維持に向けて尽力してまいります。

ハムスターの診療

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