犬の子宮水腫

※手術の画像があります。苦手な方は閲覧しないでください。
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

チワワ(10歳1ヶ月齢 未避妊メス)が「おなかが張っている。」とのことで来院されました。おなかの張りを認めたため、血液検査、X線検査、超音波検査を行いました。結果、子宮疾患が疑われ、画像検査により子宮が重度に拡張していたため、その日の夜に摘出手術としました。摘出した子宮は910g(術前体重のおよそ28%でした)あり、子宮の中身は水分で、「子宮水腫」でした。手術後の麻酔の醒めも問題ありませんでした。3日ほど入院し、経過に問題がないため退院。2週間後頃、抜糸して治療終了となりました。

犬の子宮疾患について

子宮疾患は様々ありますが、今回の患者さんは、子宮に粘液が溜まる「子宮水腫」でした。症状は復位膨満(おなかが張っていること)や多飲多尿、外陰部から粘液が漏れ出したり(開放型)してきます。発生率はよくわかっていません。臨床の現場でよくみられるのは「子宮蓄膿症(パイオメトラ)」です。主に6歳を過ぎるころから認められることが多く、未避妊の雌で多いです。子宮水腫に細菌感染を伴うと子宮蓄膿症に発展すると言われており、子宮水腫は子宮蓄膿症の前段階とも言えます。

▲外観です。

▲右側から見た画像です。横から見ると毛で隠れて、おなかの張りはわかりにくいですね。

▲バンザイさせた状態です。おなかが膨らんでいるのがよくわかります。

▲超音波画像です。矢印が腹腔内の拡張した子宮です。水分を多く含んでいるので、画像上黒く映ります。

▲X線画像です。矢印の部分が拡張した子宮です。尾側の腹腔内の陰影が均一化されています。

▲手術中の写真です。おなかを開けて子宮(赤矢印)と卵巣をおなかの外に出しています。子宮がとても腫脹しています。異常になった子宮と卵巣を常法通り摘出します。(青矢印が頭側)

▲術後のおなかの画像です。ナイロン糸で皮膚を縫合しています。摘出した子宮を切開すると、少し濁った粘液が溜まっていました。見た目には明らかな感染や腫瘤状病変は認められませんでした。

臨床診断は「子宮水腫」

術後3日目には、体調が良好であったため退院としました。
退院時は、抗生剤や鎮痛剤などで治療を継続します。術後およそ2週間で抜糸となり、経過観察となりました。

子宮水腫についてもっとくわしく

子宮水腫(もしくは 子宮粘液症)は子宮内に何らかの液体成分が貯留した状態です。子宮蓄膿症の前段階とも言われていますが、性ホルモンの影響を受けていないこともあり、詳細はよくわかっていません。子宮水腫の段階では、内科治療も選択されることあるようですが、子宮蓄膿症に発展する可能性を考えると、治療の第一選択肢は子宮卵巣の外科摘出になります。

症状

子宮蓄膿症と類似しており、外陰部からの分泌物、おりものの排泄、多飲多尿、元気消失、食欲不振、復位膨満、など

検査

血液検査、X線検査、超音波検査、CT検査

治療

第一選択肢は、病的な子宮と卵巣の摘出。ときに、内科療法が選択される

予防

早期の子宮卵巣摘出術

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。

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