2022.12.08
うさぎの肥満はわかりにくく、飼い主にとっての「ちょっとぽっちゃりしてて可愛い」が、うさぎにとっては「かなりぽっちゃり」の場合があります。うさぎも人間と同じで太っていると色々な病気にかかりやすくなってしまうので原因やリスク、対策や予防法をしっかりと知っておきましょう。
標準的な体型のうさぎのお腹はすっきりしていて、横から見ると地面との間にしっかりと隙間があります。妊娠しているわけでもないのにお腹がふっくらして見える、地面との間にあまり隙間が見られないというときは、肥満の可能性が高いです。
標準的な体型と比べて、肥満の場合は顔に対して体がかなり大きく見えます。
盲腸便とはうさぎが食べる糞のことで、ゼリー状の膜のようなものに囲まれブドウの房の形をしています。盲腸便にはアミノ酸やビタミンが含まれており、食べることによって栄養素を吸収しています。
うさぎはお尻に口をつけて盲腸便を食べますが、太っているとお肉が邪魔して、お尻に口が届かなるので盲腸便の食べ残しが目立つようになります。
「毛がぼさぼさしているかも」と感じるようであれば、肥満のサインかもしれません。
肥満だと、体をひねって背中やお尻が毛づくろいできなくなるため、毛並みが悪くなったり汚れたりするからです。
上記の症状がひとつでも当てはまったら、まずは獣医師に相談してみましょう。病気が原因になっている可能性もあります。
ちゅら動物病院は犬猫の他、うさぎや鳥、ハムスター、フェレットなどのエキゾチックアニマルの診療にも力を入れています。
札幌市北区にありますが、手稲区、中央区、石狩市、小樽市などからもアクセスしやすいです。うさぎの診療に関しては(こちら)に記載しておりますので、ぜひご覧ください。
肥満により体重が増えると関節や靭帯に負担がかかりケガをしやすくなります。足の裏に肉球がないため足底に負担がかかると、タコや足底皮膚炎(ソアーホック)になります。
体が丸くなると口が届かない箇所が多くなり、自ら毛づくろいが上手にできないので、毛並みが悪くなります。太ると皮膚がたるんで、脇や内股、陰部などのシワになりやすい部分に湿気がこもりやすく、皮膚炎が起こりやすくなります。
肝臓に脂肪がたまっている状態を脂肪肝(肝リピドーシス)といいます。
脂肪肝になると、体の中でたくさんの危険因子が増えます。脂肪肝のうさぎは数日食べなくなると、脂肪を肝臓で燃焼してエネルギーに変えます。その際にケトン体という毒素が作られさらに体調の悪化を招きます。体中が毒度で侵されると、場合によっては死に至ることもあります。
脂肪が多いと、手術に用いる麻酔の量を増やさなくてはいけません。そのため、死亡率が高くなるので、肥満は麻酔のリスクを高めます。また、胸を圧迫するので呼吸がしにくくなり麻酔が安定しません。
さらに、内臓脂肪が多いと手術中に血管の識別と結紮(血管をしばって血行をとめること)をより困難にします。つまり、手術時間が長くなり、手術のリスクが高くなります。
メーカーにより異なりますが、ペレットの適正量は「体重の1.5~3%(大人のうさぎの場合)」と言われています。牧草は食べ放題で与え、ペレットの量でカロリー調節しましょう。
また、果物全般、根菜類、市販のおやつは特に太りやすいので頻度と量はしっかりと調節しましょう。
避妊・去勢手術をしている場合は、ホルモンバランスの変化により太りやすい体質になっています。ペレットやおやつの量を減らし術後の体重管理に気を付けましょう。
膿瘍、腫瘍、子宮疾患、腹水などがあると太って見える場合もあり、病気と知らずに過ごしていると手遅れになってしまうこともあります。
肥満かどうかわからず心配であれば一度動物病院を受診し、不適切な食事による肥満なのか、病気が原因ではないかを確認する方が良いでしょう。
肥満を解消するには健康的な食事内容に変更することが必要です。肥満と診断を受けて、食事の量を急激に減らしてしまうとうさぎはストレスを感じてしまいます。食事の改善方法として牧草をメインで与え、ペレットの量を調節しましょう。カロリーが高いのでマメ科の牧草(アルファルファなど)ではなく、イネ科の牧草を与えるのが好ましいです。
おやつは葉物野菜(大葉、小松菜など)、嗜好性が高いイネ科の牧草(オーツヘイ、ウィートヘイ)や、ハーブがオススメです。
おもちゃで遊ばせたり、部屋の中で散歩させ適度に体を動かすことも大切です。
肥満解消のポイントは飼い主の「根気」です。面倒でもペレットは毎回きちんと計量し、適切な量を与えましょう。おねだりにも負けてはいけません。肥満になると病気にかかりやすくなり、寿命が短くなる可能性があります。ペレットと比べ牧草はかさばり、あげる際は粉が落ちてしまったりと管理が大変ですが、大切な家族と少しでも長く過ごせるように、体重管理はしっかりとしましょう。
ちゅら動物病院は犬、猫の他、インコなどの鳥類、そしてフェレット、うさぎ、ハムスターハリネズミなどの小型哺乳類・エキゾチックアニマルの診療を行なっております。土日、祝日も診療しております。夜間、時間外診療についてはお気軽にお問い合わせください。診療経験豊富な獣医師が対応させていただきますので、安心してご相談いただければ幸いです。
タカハシメグミ
外部ライター
2010年、動物看護師として石狩市の動物病院にて勤務。犬や猫を中心に診察・診療の補助を行う。2016年、結婚・出産を機に退職。その後はパートタイマーとして動物園に勤務する。2021年より、ちゅら動物病院で記事を書かせていただくことになりました!海外の論文や記事を参考に、少しでも愛犬、愛猫の健康に貢献できるような記事を目指してがんばります。
※本ライターによる執筆は本ライターに帰属するものであり、その正確性や内容に関してちゅら動物病院がなんら保証するものではありません。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
9:30〜12:30 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
16:30〜19:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
受付終了は診療終了時刻の30分前になります