ウサギの耳ダニ感染症

耳がガサガサ!ウサギの耳ダニ感染症

※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

ウサギ(ネザーランドドワーフ、10歳8ヶ月齢、去勢雄)が「耳に違和感があり、両耳がふさがっている様子。」とのことで来院しました。両側の耳道に炎症があり、カサブタで耳道がふさがっていました。皮膚検査によりウサギキュウセンヒゼンダニ(耳ダニ)が観察されたため、駆虫薬によるダニ駆除を行いました。その後3週間ごとに計3回の駆虫治療を続けて症状が改善したため、治療終了となりました。

耳ダニ症について

耳ダニ症(耳カイセン)は外部寄生虫症の1つです。接触により感染し、耳に強い痒みが生じ、ひっかき傷や滲出物による大量のカサブタが形成されます。病変のある部位に押し当てたテープを顕微鏡で観察することで、ダニの虫体や卵が見える場合があります。

ウサギ外観

▲ウサギ外観。耳の縁が脱毛し、耳道に炎症があります

右耳の患部

▲右耳の患部の拡大画像。耳道が赤みを帯び、白色のカサブタで耳道が覆われています

左耳の患部

▲左耳の患部の拡大画像。右耳同様に炎症とカサブタがめだちます

顕微鏡画像

▲顕微鏡の画像です。ウサギキュウセンヒゼンダニの成虫と卵が確認できます(赤矢印:成虫、青矢印:卵)

臨床診断は「耳ダニ症(耳カイセン)」

この症例は初診時に駆虫薬を皮膚に滴下し、3週間後、6週間後と同様に滴下することで耳道を覆っていたカサブタはなくなりました。

3週間後の左耳

▲3週間後の左耳の画像。耳道の赤みが引きました

6週間後の左耳

▲6週間後の左耳の画像。耳道のカサブタがなくなり、きれいになりました。これで治療終了です!

ウサギの耳ダニ症についてもっと詳しく!

ウサギキュウセンヒゼンダニはウサギの耳道に寄生し、外耳炎を起こします。体長は0.4~0.8mmで非常に小さく、顕微鏡でなければはっきりとみることは難しいです。元々ファーム内のウサギ同士で感染していることが多く、飼い始めの頃には症状がなくてもすでに感染している可能性があります。人が咬まれることもあるため、ウサギを触った後はしっかり手を洗いましょう。感染拡大防止のため、検査と治療を積極的に行う必要があります。

原因

ウサギキュウセンヒゼンダニの感染が原因で起こり、水平感染(感染ウサギとの接触)が主です

症状

状況により耳に強い痒みが出てきて、患部が肥厚し、脱毛や大量のカサブタを形成します。寄生数が少ない場合、無症状で経過することもあります

検査

病変部位にテープを押し当て、顕微鏡で成虫や卵の確認をします

治療

当院ではスポット剤と注射薬を使って駆虫します。注意が必要なのは、犬猫用のダニ駆除薬として販売されているフィプロニルの入ったスポット剤はウサギを死に至らしめるので、絶対に使用してはいけません。必ず獣医師の診断のもと、治療してください

予防

新しくウサギを迎えたら、早めに健康診断に行き、感染していないかを確認しましょう。多頭飼育では、検査していないウサギ同士が接触しないようにし、ケージ内やウサギが頻繁に触れる場所はこまめに掃除することも大切です。

文責:飯島杏香 獣医師
監修:清野伸隆 獣医師 院長

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続き、この子の健康維持に向けて尽力してまいります。

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