皮膚のできもの うさぎの皮膚腫瘍②「メラノーマ」

※本コラムでは手術時の画像があります。苦手な方は閲覧をお控えください。
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

うさぎ(ミニレッキス 6歳1ヶ月齢 未去勢雄)が「左眼の上にカサブタができている。」とのことで来院しました。身体検査により左眼から数センチ上の皮膚に黒色のカサブタを伴う直径5mm大のできものをみとめました。腫瘍が疑わしかったため手術で切除し、検査した結果「悪性黒色腫(メラノーマ)」という癌でした。しかし、適切な治療を施したため切除状態は良好で、その後も問題が無かったため治療終了としました。

うさぎの皮膚腫瘤について

うさぎでは皮膚にできものができることはよくあり、皮膚炎や外傷によるかさぶたや腫瘍など、さまざまです。うさぎも他の動物同様、見た目で診断がつく疾患は少ないと思われます。この患者のように、単なる外傷によるカサブタだと思っていたら、その根底には腫瘍が隠れていることがよくあります。悪性腫瘍である場合は早期の治療が必要ですが、外観から診断がつきにくいため、治療および検査として切除することが重要です。

うさぎ外観。本人はできものを気にしていませんでした。また、遠目にはできものが少しわかりにくいですね

患部のアップ画像。一見すると黒いカサブタがついているだけのように見えますが、その下には腫瘤が存在しています

麻酔後手術直前の画像です。ミニレッキスなので毛が密でややわかりにく外観です

切除後の画像です。切除後皮膚を縫合してあります。

臨床診断は「皮膚腫瘍」
病理診断は「悪性黒色腫(メラノーマ)」

麻酔からの覚醒も問題なく、手術当日退院としました。 退院時には抗生物質や鎮痛剤などの内服薬を処方し、翌日の再診でも食欲元気があり、体調に問題はありませんでした。 さらに10日後の診察では傷のふさがりを確認して治療終了となりました。 摘出した腫瘤の結果は、悪性腫瘍である「悪性黒色腫(メラノーマ)」でした。しかし、完全切除との評価を得られました。

治療終了時の画像です。これで治療終了です!

悪性黒色腫(メラノーマ)についてもっとくわしく!

悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニン色素産生細胞が異常になってしまう腫瘍であり、良性腫瘍であるメラノサイト―マとは区別されます。また、黒色腫と言われますが、必ずしも黒ではなく、茶色や赤色、白色の場合もあります。皮膚以外にも口腔内、口唇、爪の根本などにも発生します。全身の臓器や領域のリンパ節に転移を起こすことがあるので注意が必要です。

原因

特になし

症状

皮膚の痛みや痒み、それに伴い出血など。全身転移を起こすと、転移先の臓器の障害が出ることがあります。

検査

身体検査、切除生検

治療

外科手術による切除、抗がん剤投与

予防

特になし

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。

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