皮膚のできもの。うさぎの皮膚腫瘍①「乳頭腫」

※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

うさぎ(ミニレッキス、3歳5ヶ月齢)が、「半年前から左前足にできものがあって、徐々に大きくなっている。」とのことで来院されました。
左前足の第2指と第3指の間に直径1cmくらいのできものができていました。術前検査にて異常が認められなかったため、麻酔下で切除手術をしました。切除したものは、病理学的検査に提出し、結果「乳頭腫」という良性の皮膚腫瘍であることがわかりました。切除後14日目には傷もなく治療終了となりました。

うさぎの皮膚のできものについて

うさぎも他の動物同様、皮膚炎や外傷によるかさぶた、腫瘍など、皮膚にトラブルを抱えて来院することが多いです。
特に、皮膚にできる腫瘤状のものは見た目で診断がつくものは非常に少なく、最終的には切除して病理学的検査に提出しないとわかりません。悪性腫瘍である場合は早期の治療が必要ですが、外観から診断がつきにくいため、治療および検査として切除することがよくあります。

麻酔下での切除以外の検査には、注射針をできものに刺して細胞を採材して検査に出すこともあります。メリットは体への負担が少ないことですが、デメリットとして、ある程度の大きさのできものでなくては刺すことが困難であること、取れた細胞の量が少なく費用と時間をかけたけど、診断がつかないことが挙げられます。

▲第2指と第3指の間にできもの(矢印)ができています。表面はカサブタができて、やや乾燥しています

▲消毒直後の画像です。第3指の内側(第2指側)にできものができていて、表面が潰瘍になっています(矢印)。この後、手術部分だけを露出するようにドレープで覆い手術します

▲手術後の画像です。電気メスという医療機器で出血を抑えながら切除しました。指の筋などに注意しながら可能な限り広範囲で切除しました

切除したできものは、病理学的検査に提出して、取ったできものが何かをしっかり調べます。
この検査を行わないと、できものが何であるかも含め、取り切れているのか、再発の可能性があるのか、悪性腫瘍であった場合、抗がん剤など次の手を打つべきなのかわからないので、今後に関わる非常に大切な検査と言えます。

病理診断は「乳頭腫」

術後3日目では手術した部位に異常は認められませんでした。
術後2週間目では傷も癒え、指の動きも問題ありませんでした。
病理学的検査の結果も良性の腫瘍であり切除した部分の縁にも腫瘍細胞は認められなかったため、術後は再発の可能性に注意しつつ経過をみることになりました。

うさぎの乳頭腫についてもっとくわしく!

乳頭腫は、比較的多くみられる良性皮膚腫瘍のひとつです。ウイルス性に発生するものと非ウイルス性に発生するものがあります。
一般的には、術後の予後は良好ですが、多発する場合や再発する場合もあります。まれに扁平上皮癌に進行することもあるようなので、同様のものができた場合も、切除して検査をする必要があります。

原因

ウイルスが関与する場合と関与しない場合がある

症状

できものをまったく気にしないことがあります。できものが大きくなってくると気にして引っかいたり、舐めかじったりして出血や潰瘍を起こすことがあります

治療

外科的切除で良好な経過をたどりますが、再発や多発することもあります

予防

特にありません

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。
※伴侶動物の症状、状態には個体差がございます。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。

うさぎの診療

9:30〜12:30
16:30〜19:00

050-3196-4900

予約する

受付終了は診療終了時刻の30分前になります