うさぎの胸椎骨折

※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

5ヶ月齢のうさぎさんが、後ろ足の麻痺を主訴に来院しました。この子は以前にホームページに載せた後躯麻痺のうさぎさんで、治療終了から1か月後に再度後躯麻痺になってしまいました。今回の原因は定かではありませんが、「同居うさぎとケンカしてから発症したかもしれない」とのことでした。来院時は後ろ足に力が入らず、立つことができませんでした。レントゲン検査では前回、違和感があった胸椎での骨折を認めました。安静入院、注射治療で良くなり、退院、内服治療としました。その後は、経過もよく歩けるようになりました。

後躯麻痺(後ろ足の麻痺)について

後躯麻痺は様々な動物で起こり、原因も様々です。一般的には、神経の異常や腫瘍、骨折などが考えられます。治療はその原因によって異なるため、しっかり診断をつけることが大切です。
うさぎの後躯麻痺は事故による骨折がほとんどで、まれに背骨の腫瘍などで神経の障害を起こすことがあります。事故の原因は様々で、爪切りなどの時に激しいキックをすることで発生したり、何かに驚いたときに突発的に走ろうとして折れるなんてこともあります。そのため、事故によるものの多くは腰椎の骨折です。骨折が疑わしい場合は、レントゲン検査やCT検査で確認します。腰椎の骨折の場合は整復が困難であるため、安静と内科治療が選択されます。

初診時の画像を取り忘れてしまいました…。後肢が前に出ず、ずって歩く感じで、獣医師コラム「うさぎの後躯麻痺」の初診時の動画と同じでした。

前回の診察時に違和感を感じていた背骨の部分で骨折が認められました。脊髄の損傷の程度については、レントゲンでは判断できません。

臨床診断は「脊椎(胸椎)の骨折、および脊髄損傷」

今回は明らかに背骨の骨折が認められたため、静脈点滴、注射治療と可能な限りの安静として入院治療としました。
本人としては、後ろ足が動かないだけで元気ですから、暴れて損傷が進行しないように血管の確保をするのもかなりの注意が必要です。

▲入院風景

極力動けないようにかなり狭い空間で生活してもらいます。静脈点滴をしているので体は脱水しませんが、のどは渇くので野菜で水分を摂取してもらいます。このうさぎさんは食欲が全く落ちなかったため、良好な経過をたどりました。
前回同様、圧迫排尿による排尿を行っていましたが、入院から4日目には自力での排尿を認めました。

入院治療11日目には、体調が落ち着いたため退院とし、安静と内服で経過を診ることとなりました。

退院5日後(初診16日後)には起立することができるようになり、少し歩けるようになってきました。

初診から40日後には普通の生活ができるレベルまで回復したため治療を終了としました。

うさぎの脊椎骨折についてもっとくわしく!

うさぎは脚力が非常に強いものの、その骨は弱く、自分の力で骨折してしまうことがある動物です。後躯麻痺のうさぎの場合、可能性がもっとも高いのは背骨の骨折による脊髄の損傷です。人では脊椎の固定のため絶対安静が必要ですが、動物の場合、安静にし続けることが困難です。損傷の程度によりますが、多くの場合、死の転帰をたどることが多いです。

症状

神経の障害の程度により痛みだけのこともあれば、麻痺を起こし歩けなくなることもあります。また、障害が重度になってくると排尿に携わる神経も障害され、排尿困難が生じたり、痛みを感じる感覚も障害されることもあります。また、炎症が障害部位から頭側の神経に波及していくと突然亡くなることもあります。

診断

レントゲン検査、血液検査、CT検査、MRI検査など

予防

抱っこや、人との触れ合いに慣れさせる。床にカーペットなどを敷き滑らないようにする

治療

安静、内科治療、時に外科治療

※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。
※伴侶動物の症状、状態には個体差がございます。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。

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