足から出血!力が入らない…。ハムスターの骨折(断脚手術)

※手術画像があります。血液などが写ることがありますから苦手な方は閲覧しないでください。
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

ゴールデンハムスター(8ヶ月齢)の患者さんが、左後ろ足のケガと出血を主訴に来院しました。「昨夜から今朝にかけて回し車が壊れていて軸に足が引っ掛かっていた」とのことでした。本人は動き回っていますが、左後ろ足は使えていませんでした。レントゲン検査、外観においても脚の損傷が重度であり骨の突出がみとめられたため、骨折と診断。本人の苦痛からの解放と感染の予防、QOL(生活の質)改善ため、断脚となりました。術後は非常に良好で元気に過ごしています。

ハムスターの骨折について

ハムスターの骨折は時々見られますが、事故によるものが多くを占めます。最近では複雑なケージがハムスター用として販売されていますが、注意が必要なものもあります。複雑なケージも悪いことばかりではなく、運動量が増したり本人のQOLの上昇に寄与することもあります。その子に合っているかが重要です。ケージ内のどこかに挟まったり、壁を伝って天井から落ちたりとケージ内で起こる事故もあれば、部屋に出しているときに知らずに踏んでしまったり、扉に挟んでしまったりなどケージ外で起こる事故もあります。

▲左後ろ足のスネの部分で骨が折れてしまっています。脛骨(太い方の骨)と腓骨(細い方の骨)というふたつの骨でスネは成り立っていますが両方折れてしまっています

残念ながら、この状態では脚を温存することは難しいため、苦痛からの解放と感染の予防、QOL(生活の質)改善ため、断脚となりました。

▲こちらは手術直前、麻酔下での画像です。折れた骨が突出しています。ほぼ断裂していて、皮一枚で繋がっている状況です

▲断脚後の画像です。切った断端の骨が露出しないように、筋肉で覆います

手術は無事終わり、本人もよく頑張ってくれました。

診断は「左下腿骨開放骨折」

術後3日目に退院として、抗生剤や鎮痛剤などの内服を処方し自宅経過観察としました。自宅では傷口の汚染を防ぐようお願いしました。術後13日に抜糸処置を行いました。

▲抜歯直前です。足の腫れもなく、良好です

▲抜糸直前です。2本自分で糸を取ってしまっていますが、傷口は問題ありませんでした

抜糸直後の動画です。すごく早く動きますね。カメラで追うのが大変です。もちろん、生活の質(QOL)の低下も認められません

ハムスターの足の骨折について

ハムスターの骨折は年齢を問わず見られ、事故によるものが多くを占めます。その中でも脚の骨折が多く認められます。ほかの動物同様、骨折治療の第一選択肢は手術による整復ですが、体が小さいこともあり困難な場合もあります。治療の第2選択肢はバンテージ処置になりますが、かじってボロボロにしてしまい、数時間でダメになることもあります。

症状

足が動かない。体重をかけられない。足がブラブラしている。など。今回のように必ずしも出血を伴わないこともあります。片方の足を使わないで走るような、いつもと違う動きをしている時は特に注意してみてあげてください。心配な時はご相談いただければ幸いです。

予防

事故にならないような、その子に合ったケージの選択。部屋に出しているときは目を離さない。

治療

脚が温存できそうなら手術による骨折整復やバンテージ処置。難しい場合は断脚術。

※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。
※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。

ハムスターの診療

ハムスターの骨折について

ハムスターは、この記事でご説明しましたように、事故によって骨折することがあります。けがをしないよう、その子にあったケージを選んであげてください。また、骨折したときにその骨がくっつくかどうかは、時間も非常に重要ですので、歩き方に異常が見られた時などは速やかに動物病院に連れていきましょう。

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