モルモットの不整咬合

このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。

※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

モルモット(6歳)が、「1か月前からチモシーを食べなくなった。歯ぎしりもしている。」とのことで来院されました。当院来院1週間前に他院を受診し、奥歯の過長を指摘されているようです。口腔内を確認したところ、下の奥歯がアーチ状に伸びていて、舌の動きを阻害していました。異常になっている歯を医療用のニッパーでカットし、その日の治療は終了。一旦異常に伸びるようになると、モルモットの歯は生涯伸び続けるため定期的な治療が必要になります。

モルモットの不整咬合について

不整咬合とは、歯が異常に伸びて(もしくは、まったく伸びず)、咬み合わせが悪くなった状態のことです。モルモットは、生涯奥歯も前歯も伸び続ける動物で、本来の食性から大きくはずれたものを食べ続けていると不整咬合になってしまうことが多いです。この患者さんには、「チモシーを食べなくなった = 固いものを食べなくなった、咀嚼しにくくなった」「歯ぎしり = 歯に違和感がある可能性」という、不整咬合でよく認められる症状がありました。

検査は口腔内の肉眼的なチェックとなります。一番奥の奥歯は見えないことがあるので、状況によっては麻酔をかけて確認することもあります。治療としては、麻酔をかけずに医療用のニッパーで歯をカットしたり、麻酔をかけて歯を研磨したりします。一旦悪くなってしまった歯は元に戻ることは無いので、定期的な治療が必要になります。

▲見た目にはわからないことが多いです。歯に異常があると、歯ぎしりをしたり、よだれを垂らしたりする子がいます。

▲看護師に体を押さえてもらって、口腔内を確認します。一番手前の奥歯と二番目の歯がアーチ状に舌の上にかぶさって、舌の動きを阻害しています。

▲もう少し近づいた画像です。これだけ歯が張り出していると、きちんと咀嚼することができませんし、咬むたびに痛みが出ている可能性がありますね。

臨床診断は「不整咬合」

今回は体の負担も考えて、麻酔をかけずに臼歯を医療用のニッパーでカットしました。その後、食欲は改善しました。この患者さんは1~2ヶ月おきでのカットをしています。

▲別の日の臼歯の画像です。今回は尖っていませんでしたが、アーチ状に臼歯が伸び、舌の動きを阻害しています。

▲こちらは切った臼歯です。これだけ伸びていると舌の動きを阻害しますし、正常な咀嚼が困難です。

モルモットの不整咬合についてもっとくわしく!

モルモットは、生涯前歯も奥歯も伸び続ける動物です。モルモットは栄養価の低い草をよく咀嚼して大量に摂取することで生存してきた動物です。よく咀嚼するという行動が少なくなると、正常な歯の摩耗が起こらず異常に伸長してきます。また、本来は食べ物をすり潰す横の動き(水平方向の動き)が主なのですが、ペレットなどを多給すると顎の動きが上下の動き(垂直方向の動き)になり、歯根に負荷がかかり、歯が変に伸びてきます。

原因

不適切な食餌(繊維質が少ないものの多給、牧草の量が少ない)、ケージや柵など咬み切れないものをかじる、事故など

症状

チモシーなど固いものが食べられなくなる。よだれが出る。顎下が濡れている。歯ぎしりをするなど

予防

普段からチモシーをいつでも食べられるように与えて、本来ある「よく咀嚼する行動」を制限しない

治療

一旦不整咬合になってしまったら、基本的に定期的なカットが必要です。今回のように無麻酔でカットすることが多いですが、奥歯の奥は無麻酔では難しいので、麻酔をかけて処置をすることもあります。

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。

※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。

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