眼がショボショボ…。フェレットの角膜潰瘍


※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

フェレット(パスバレー 6歳齢 避妊雌)が「2日前から右眼がショボショボしている。」とのことで来院しました。身体検査により右眼の羞明(ショボつき)が見られました。眼科検査の一つであるフルオレセイン検査を行い角膜(黒眼の表面)の傷を確認。角膜潰瘍と診断。2種類の点眼を行ってもらい、1週間後には症状も傷もなく治療終了としました。

角膜について…

角膜とは眼球の黒眼の部分の一番外側、表面のことを指します。角膜は通常血管が存在せず、透明な層を形成しています。角膜疾患はたくさんの種類があり、先生や本により名称が異なることもあります。眼の疾患は飼い主さんが異常に気づきやすいため、早期に検査、治療をすることが重要です。

▲フルオレセイン検査時の右眼(症状がある側)の画像です。黒眼の中央が緑色に染まっています。これは角膜の表層が欠損している(=傷がついている)ことを示しています。(瞼の縁に検査液がたまり緑色になっているのは正常です。)

▲左眼(症状が無い側)の画像です。右眼と違い染まっていないのがわかります。眼圧測定も行いましたがそちらには異常が見られませんでした。点眼薬を2種類処方し、治療の反応を見ます。

臨床診断は「角膜潰瘍」

▲治療開始1週間後頃の画像です。羞明はみとめず、ぱっちりしています。

▲右眼の拡大画像です。角膜表面もスムースであり、症状を認めないため、点眼回数を徐々に減らしてもらい治療終了としました。

角膜潰瘍についてもっとくわしく!

眼の疾患による症状は飼い主さんからみてすぐにわかるものが多く、来院される頻度は高い疾患です。その中でも角膜の異常は多く、さらに角膜潰瘍はなりやすい疾患です。角膜潰瘍の原因は様々あり、外因性(シャンプーやドライヤーの熱、外傷などの物理的要因など)と内因性(逆さまつげ、眼瞼の内反など)と多岐にわたります。多くは治療に反応し改善するが難治性のものもあり注意が必要です。また、今回の患者はフェレットであることと、眼を気にすることが無かったため、エリザベスカラーは装着しませんでした。しかし、角膜の傷はどんな理由であれ、こすってしまうことで急速に悪化するためこすらせないことが重要です。

原因

様々な原因で発症します。一般的に多いのは、単純な外傷や、トリミングやシャンプー後の刺激によってこすってしまうこと、異物による刺激などです。

症状

流涙、羞明、疼痛、角膜の白濁、充血など。穿孔まで至ると角膜、眼球の変形など

検査

視診。フルオレセイン検査、眼圧測定、シルマー試験など

治療

点眼治療、ときに、内科治療、外科治療。

予防

眼に対する刺激、異物混入、事故予防など。

※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。
※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。

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