お尻にできもの!デグーの皮膚腫瘍②「皮脂腺腫」

※本コラムでは手術時の画像があります。苦手な方は閲覧をお控えください。
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

デグー(4歳4ヶ月齢、未避妊雌)が「だいぶ前からお尻にできものがある。」とのことで来院しました。身体検査により肛門と外陰部の間にくびれのある直径1.2cm大の腫瘤を確認しました。腫瘍が疑わしかったため手術で切除し、検査した結果「皮脂腺腫」という良性の腫瘍でした。切除状態は良好で、その後も問題が無かったため治療終了としました。

デグーの皮膚腫瘤について

デグーでは皮膚にできものができることはよくあり、皮膚炎や外傷によるかさぶたや腫瘍など、さまざまです。デグーでのデータは私の知る限り見つかりませんでしたが、他の動物同様、見た目で診断がつく疾患は少ないと思われます。悪性腫瘍である場合は早期の治療が必要ですが、外観から診断がつきにくいため、治療および検査として切除することがよくあります。今回の飼い主さんは決断が早く、診察後早期の切除手術となりました。

デグー外観。本人はできものを気にしていませんでした

麻酔をかけて洗浄消毒をし終わったところです。外陰部の背側にくびれのある腫瘤状病変があります。直径は1.2cmでした

手術直前の画像です。デグーに適した手術用ドレープ(滅菌されており、消毒されていない部分に触れないようにする布)はありません。そのため、滅菌ガーゼを切って病変以外の部分を覆うように使用します

切除後の画像です。出血をできるだけしないように電気メスと呼ばれる医療器具を用いて止血しながら切除しました

切除した腫瘤です

臨床診断は「皮膚腫瘍」

病理診断は「皮脂腺腫」

麻酔からの覚醒も問題なく、手術当日退院としました。 退院時には抗生物質や鎮痛剤などの内服薬を処方し、4日後の再診では食欲元気もあり、体調に問題はありませんでした。 さらに10日後の診察では傷のふさがりを確認して治療終了となりました。 摘出した腫瘤の結果は、良性腫瘍である「皮脂腺腫」でした。切除状態も良好との評価を得られました。

治療終了時の画像です。少しカサブタが残っていますが良好なので治療終了です!

皮膚腺腫についてもっとくわしく!

皮脂腺腫は、皮脂腺が異常に増殖した腫瘍であり良性の腫瘍です(皮脂腺癌は悪性)。残念ながら、見た目からは良性、悪性の区別はつかないため、治療兼検査の第一歩が外科的な切除となること多いです。状況によっては、それ自体、もしくは周囲に炎症を起こしたり、痛みを引き起こすこともあるため早めの治療が必要です。

原因

特になし

症状

病変自体もしくはその周囲の炎症。疼痛。病変が巨大になると、擦過傷などにより潰瘍を伴うこともある

検査

身体検査、細胞診など

治療

外科手術による切除

予防

特になし

※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。