頻繁におしりをつつく…。コザクラインコの自咬症

※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

オスのコザクラインコ(2歳半)が、「お尻周りが腫れて出血している」という主訴で来院されました。お話を聞くと、自分でお尻をつついて気にしているとのこと。皮膚自体が傷ついて腫れているようで、腫れを気にしてさらにつついているようでした。皮膚の痛みや痒み、お尻の違和感を気にして自咬していることを考え、エリザベスカラーと内服による治療を開始しました。その後は良化傾向をたどり、皮膚はすっかり良くなりました。本人も今はお尻を気にしなくなったとのことです。

インコの自咬症について

精神的な要因や、痛みや痒みなどの刺激で気にしてその部分を自分で咬んでしまう状態です。メスの場合は産卵の前後で自咬することもあり、中には感染症や腫瘍と関係している場合もあります。自咬しているところは出血し、化膿することもあり、ひどい場合は命に関わることもあるので、できる限り早めの治療が必要です。

▲来院時特に体調の悪さは見受けられませんでした。

▲お尻を見てみると、尾羽の付け根辺りの皮膚が傷ついて出血した痕があるようでした。

▲総排泄腔(糞や尿、卵が出てくる孔)自体は傷ついている様子はありません。

臨床診断は「自咬症」

▲皮膚が傷ついていることでさらに気にして自身で皮膚を傷つける可能性もあったので、エリザベスカラーをつけてもらいました。自咬している場合、皮膚が傷つき、嘴に血がついていることが多いですが、この患者にそのような様子はありませんでした。鳥さんの場合、エリザベスカラーを付けるにあたってパニックになってしまう子もいるので、傷の状態がひどいなどどうしてもつけなければならない場合は慎重な判断が必要です。エリザベスカラーと内服のお薬で、皮膚自体が良くなるかどうかを見ていきます。

▲治療から約2週間後の様子です。皮膚の具合は少し良くなったようです。腫瘍などほかの皮膚疾患の可能性も疑いましたが、カラーをしたことで良くなったということは、やはり自分自身で傷つけていたため皮膚の治りは良くなかったようです。

▲治療から約1か月半後の様子です。皮膚自体はだいぶ良くなり、本人もほとんど気にしなくなったようです。エリザベスカラーを外す時間を少しずつ長くしてもらい、それで本人がお尻を気にしなければ治療終了です。

インコの自咬症について

自咬する部位は嘴が届きやすい首や胸、脚、背中、総排泄孔周りが多いです。場合によっては原因となっていた傷自体が治っても続くことがあるので、そうなるとずっとエリザベスカラーをして自咬しないようにしなければならないかもしれません。また、一度治療しても再発することがあるので注意が必要です。

症状

脇や翼の下、脚、尾部などを自分で傷つけます。嘴だけでなく、爪でも傷つけることがあります。

予防

痛みや痒みがあることによって起こる自咬は早めに発見し治療を行うことで防ぐことができると考えられます。

治療

自咬がひどい場合はエリザベスカラーを装着します。カラーがあることによって激しく暴れたり、食欲や元気がなくなってしまう場合は向精神薬や行動療法が試されることもありますが、こちらもリスクがあることを念頭に置かなければなりません。痛みや痒みなどの原因があるようなら原因に対する治療を同時にしていきます。

※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

インコ,鳥類の診療

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