犬が前足を舐める…獣医師がその原因と対処法を解説します

犬が前脚を舐める原因

犬が前脚を舐める原因には大きく分けて①足先の不快感、痛み、②心因性のもの、の2つがあります。①は急性湿性皮膚炎やアトピー性皮膚炎などの疾患により引き起こされますが、②は飼い主と離れることに強い不安を覚える分離不安や、不潔な飼育環境、過度なかまいすぎなどのストレスにより引き起こされます。

前足を舐める原因となる疾患

急性湿性皮膚炎

犬が前足を舐める原因の一つとして、急性湿性皮膚炎が挙げられます。これはホットスポットとも呼ばれる肢先や指間にみられる皮膚炎です。急性湿性皮膚炎は動物病院で見られる皮膚炎のうち47%で見られ、同じく41%でも見られる肢端舐性(したんしせい)皮膚炎と併せて、犬が前脚を舐める大きな原因のひとつと考えられます。

急性湿性皮膚炎は数日以内の短期間で発症する特徴があります。前脚の強い痒みや、赤く湿っぽい炎症や皮膚の傷がみられます。多くの場合、ノミの咬傷に対するアレルギーであるノミアレルギー性皮膚炎に続発しますが、柴犬などのアンダーコートが密であり湿気が溜まりやすい犬種や、肥満の犬においても発症しやすいとされています。

肢端舐性皮膚炎

こちらも犬が前足を舐める原因となる疾患です。肢端舐性(したんしせい)皮膚炎は心因性の常同行動が原因となる肢の先の皮膚炎です。心因性の常同行動とは、前脚を執拗に舐める、自分の尾を追いかけまわす、同じルートを徘徊する、などの繰り返しの行動であり、強いストレスを感じている犬でよくみられます。人では強迫性障害が同様の疾患として知られています。

肢端舐性皮膚炎では繰り返し脚先を舐め続けることにより、楕円形の脱毛や細菌の二次感染による炎症などがみられます。

その他の疾患

急性湿性皮膚炎や肢端舐性皮膚炎は肢先に症状がみられ、犬の前脚を舐める原因になりやすい疾患ですが、犬のアレルギー性皮膚炎としてよく知られているアトピー性皮膚炎や、散歩中に植物の棘を踏んだなどの脚先の外傷、皮膚の悪性腫瘍である扁平上皮癌や、良性腫瘍である皮膚組織球腫などの腫瘍性疾患が肢先に発生した場合に、痒みや痛み、違和感により犬が前脚を舐める原因になります。このように、犬が前足を舐める原因となる疾患は、足先の違和感や痛みから、心因性のものまで様々です。

治療と予防

急性湿性皮膚炎や肢端舐性皮膚炎などの疾患で犬が前脚を舐めている場合、①肢先の症状に対する治療、②疾患の引き起こしている原因に対する治療をおこなっていきます。

①では抗生物質や抗炎症剤の含まれた軟膏の塗布、エリザベスカラーの装着や患部の毛刈り、症状がひどい場合には内服や注射による治療をおこなっていきます。

②は疾患により異なる治療をおこないます。

急性湿性皮膚炎の治療

急性湿性皮膚炎の原因がノミアレルギー性皮膚炎の場合、犬に寄生しているノミを駆虫する必要があります。ノミの駆虫では動物病院で処方されるノミ予防薬を治療薬として使用する場合があります。ノミは同居動物にも寄生している可能性があるため、同時に駆虫をおこなってください。

肢端舐性皮膚炎の治療

肢端舐性皮膚炎の原因が環境的な要因で引き起こされている場合、清潔で風通しのよい静かな環境で飼育する。子供による犬のかまいすぎなどが原因の場合、接し方の改善することで症状が収まる場合があります。

犬の分離不安症が原因の場合では、比較的治療が難しくなります。飼い主と離れることに過剰に不安を覚える当疾患では、行動療法と向精神薬などを使用した内科的な療法をおこなう場合がありますが、行動療法では長い期間をかけたトレーニングをおこなう必要があり、また必ず効果がみられるわけではありません。

どのような原因にせよ、正しい治療をおこなうためには他の疾患を除外する必要があるため、足先を舐める症状がみられる場合は一度動物病院を来院するようにお願いします。

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