犬の眼球内メラノーマ

※眼球内の画像があり、また血液も一部写っています。苦手な方は閲覧しないでください。
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。

概要

Mダックスフンド(15歳齢)が、左眼の充血、なみだ、目やにを主訴に来院しました。外観上、左の眼球が変形をしており、眼球内の異常(腫瘍など)が疑われましたが、本人には明らかな苦痛は認められませんでした。飼い主様と話し合いの結果、当院での治療をご希望されたため、眼球摘出による治療および精査をすることとなりました。摘出した眼球を検査した結果、悪性黒色腫というガンでした。摘出後は、元気に生活しています。

犬の眼球内腫瘍について

眼球内の腫瘍は、確認が困難なことが多く、確認できたころにはすでに腫瘍は大きくなっていることが多いです。眼球内の出血や炎症、充血、水晶体の脱臼、緑内障、眼球の変形などの異常を示すことがあります。異常が認められた場合は、眼球の状態を把握するため超音波検査やCT検査、MRI検査などを実施して状況を把握します。一部の腫瘍では、眼球を摘出することなく治療が可能なものがありますが、高度な設備と技術が必要であるため、専門医の受診をお勧めします。治療は、眼球の摘出や部分切除、術後には放射線療法や化学療法(抗がん剤)が適応となります。

外観上、結膜炎だけではなく左眼球の内部で出血、虹彩(瞳孔を形成している部分です)が肥大して厚くなっている、眼球自体の腫れなどの異常を伴っていました。眼圧測定の結果、左の眼圧が高値を示していたため、緑内障の併発も疑われました。

▲眼球外観(手術直前の写真になります)。眼球内部での出血があります。また、外側の虹彩が一部変形しています。

▲切除後の眼球の画像です。外側(画像上右側)が腫れていることがわかります。

▲眼球を切開した画像です。眼球内に直径1cmのできものがあります。

臨床診断は「眼球内腫瘤による緑内障」
病理診断は「前部ぶどう膜の悪性黒色腫」

眼球内の前部ぶどう膜というところに「悪性黒色腫」という悪性腫瘍が認められました。検査の結果、腫瘍細胞は強膜(眼球の外側の膜)を越えておらず、また視神経に及んでいませんでした。つまり、しっかり切除しきれている可能性が高いということでした。病理診断の結果は絶対ではありませんから、今後も注意深く経過を見ていく必要はありますが、この結果は飼い主様には安心材料になりますね。

術後14日に抜糸処置を行いました。

▲正面からの画像

▲横からの画像

手術後42日の画像です。義眼は入れていませんので、眼球があった部分は凹んでおりますが、生活には何ら支障はありません。

眼球内の悪性黒色腫について

一般的に「(悪性)メラノーマ」と言われる悪性腫瘍です。犬のメラノサイト由来の腫瘍で発生部位により転移の確率や浸潤の程度、再発率などが異なると言われています。眼球内での悪性黒色腫の場合、転移率は比較的低いとされています。早めに発見、治療するに越したことはありませんので、充血や涙、目やになどが気になった場合などのほか、定期的な検診でご確認されることをお勧めいたします。

症状

眼球が変形している。腫れている。眼が充血している。痛みがある。眼をよく擦るなど

診断

視診や身体検査、超音波検査など。最終的には眼球切除による腫瘤の病理診断が確定診断となります。

予防

特にありません。

治療

眼球摘出。状況により抗がん剤の投薬。

※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。
※伴侶動物の症状、状態には個体差がございます。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。

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