眼頭が腫れている!「チェリーアイ」
※本コラムでは手術時の画像があります。苦手な方は閲覧をお控えください。
※このコラムの内容は、この患者さんでのケースであり、一般的ではないことも記載されています。個体により状況は異なりますので飼われている伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。
※この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。
概要
猫(トンキニーズ 2歳2ヶ月齢 未去勢雄)が「左眼の眼頭が腫れている。」とのことで来院しました。身体検査により左眼の瞬膜の突出を確認。検査の結果、瞬膜腺の脱出(チェリーアイ)と診断。点眼で反応をみましたが改善が認められなかったため、手術にて瞬膜腺の整復術を行いました。手術後は眼をこすってしまったことにより一時的に角膜潰瘍になりましたが、その後カラーをしっかりしてもらい、潰瘍は完治しました。瞬膜腺の再脱出も認められず、その後は経過良好、治療終了としました。
瞬膜について
瞬膜とは第3眼瞼とも言われ人では退化してしまった「3つ目の瞼」であり、眼頭の位置に存在します。その機能は角膜の保護や涙液の分泌です。瞬膜腺の脱出は外観からチェリーアイとも言われ、犬で認められることが多い疾患ですが時々猫でも見られます。眼の疾患なので飼い主さんも気づきやすく、来院されることが多い疾患です。
初診時の猫さんの外観です。左眼の眼頭にあるピンク色の瞬膜が突出しています
左眼の拡大写真です。瞬膜腺が腫れているのがよくわかります
点眼薬で経過を見ましたが、残念ながら改善が認められなかったため、手術にて瞬膜腺を正しい位置に埋没させることとしました
手術直後の画像です。腫れている瞬膜腺を埋没しているため、外観は少ししか変化がありません
臨床診断は「瞬膜腺の脱出(チェリーアイ)」
手術からおよそ2か月後の外観です。経過観察時に目をこすり角膜潰瘍になってしまい経過が長引きましたが、瞬膜腺の再脱出は認めず良好のため治療終了です!
瞬膜腺の脱出(チェリーアイ) について もっとくわしく!
瞬膜腺の脱出(チェリーアイ)は、若齢での発生が多い疾患です。また、犬での発生が多くまれに猫でも発生します。放置すると乾性角結膜炎の発生率が高くなると言われています。外科手術による治療となることが多いです。
原因
よくわかっていません。瞬膜腺の周囲組織の脆弱性から発生する可能性が言われています
症状
瞬膜腺の腫脹。突出した瞬膜腺を気にして眼をこする。流涙。結膜炎。角膜炎など
検査
特徴的な外観。身体検査など
治療
外科治療
予防
特になし
※伴侶動物の症状、状態には個体差があります。伴侶動物で気になることがあれば、かかりつけにご相談されることをお勧めします。このコラムの内容閲覧により生じた一切のトラブルについて当院では責任を負いかねます。
※当院では、飼い主様と伴侶動物の協力のもと、多くの伴侶動物ができる限り疾患に罹患しないよう情報を共有するため、個人情報に配慮したうえで伴侶動物の疾患の報告を行っています。改めて、この度、HPへの掲載にご協力いただいた飼い主様と伴侶動物に感謝申し上げます。引き続きこの子の健康維持に向けて尽力してまいります。